パリオリンピックが日本時間の2024年7月27日に開幕しました。
前回の東京オリンピックで史上最多となる58個のメダルを獲得したこともあり、今大会の注目度は高まっているのではないかと思います。
そんな中、1日目の柔道男子60キロ級の試合で、誤審があったとして話題になっています。
しかし、
・オリンピックだから柔道見てみたけど、実際ルールはあまり知らない
・誤審と言っているけれど、試合で一体何が起こっていたのかあまり分かっていない
という方のために、オリンピックをより楽しんで観戦してもらえるよう誤審が起きたとされる試合と柔道のルールについて解説していきたいと思います。
柔道のルール・一本勝ち判定とは?
今回取り上げている永山選手の試合が本当に誤審であったかを判断するために、まずは少しだけ柔道のルールについて解説していきます。
柔道は、学校の授業でやったことがある人やテレビで流れてくるニュースなどを見て「相手を投げたら勝ち」や「一本取ったら勝ち」と何となく勝敗の付き方のイメージを持っている人は多いのではないでしょか。
結論から言うと、そのイメージは概ね合っています。
今回必要な知識を一部抜粋して、少しだけ詳しく説明します。
- 勝敗の決まり方
- ・「一本」を取った場合
・「技あり」を2回取った場合(合わせ技一本となる) - ・相手選手が危険行為等を行い「反則負け」となった場合
- スコア(「一本」と「技あり」の2種類がある)
- ①投技→技を掛けるか、相手の技を返して相手を投げた場合(細かいポイントはあるが今回は省略)
- ②抑え込み→「抑え込み」が宣告されてから相手が20秒間逃げられなかった場合
- ③締め技・関節技→絞技または関節技により相手が「参った」をした場合、もしくは戦闘不能になった場合
- 審判のジェスチャー
- ・勝ち
・待て
- ※今回必要そうなルールを出来るだけ分かりやすいように、内容を抜粋しています。言葉足らずな部分があった場合はご容赦ください。
柔道のルールについて説明しましたが、この中で特に重要なのが、赤色マーカーと「審判のジェスチャー」の箇所なので覚えておきましょう。
誤審と騒がれている試合で、何が起こったの?
それでは、柔道のルールについて少し理解できたところで、試合で何が起こっていたのかについて解説していきたいと思います。
問題のシーンがこちら
オリンピックの柔道、永山選手の相手選手反則負けやろ‼️(`ω´; )
『待て』かかってるのに攻撃を続け、審判も見てみぬふり、ビデオ判定も無し
これUFCとかプロ格闘技だったら絶対許されないゾ💢
疑惑の判定にも気持ち切らさず、敗者復活戦で銅メダルの永山くん流石すぎる😭pic.twitter.com/NHHexsrKRk
— 2次元おじさん@ご意見歓迎🌷 (@SIaxAJXBRiv_2nd) July 27, 2024
これを部分的に切り取って見てみましょう。
まずこのシーンを見てみると、先ほど説明した「審判のジェスチャー」からすると、「待て」を宣言しています。※動画の音声にも審判の「待て」の声が入っているようにも思えます。(動画の6秒くらいの場面)
「待て」の合図がかかったということは、この段階でお互い手を離して立ち上がり、仕切り直す必要があります。
続いてこちらのシーン。
ここで永山選手(青色の道着)は、力を抜いて手を離しているように見えます。
しかし、ガリゴス選手(白色の道着)は、力を緩めることなく掴んでいるように見えます。
※さらに、もう一度「待て」の声がかかっているように聞こえます。(動画の12秒くらいの場面)
さらにその後、
ガリゴス選手(白色の道着)が手を離すと、永山選手(青色の道着)は苦しげな表情で畳の上に倒れ込みます。
これが、ガリゴス選手の絞め技で失神したとして、ガリゴス選手の一本勝ちになりました。
この判定には、SNS上でも批判の声が多く見受けられました。
柔道の永山選手の件、あまりにも酷すぎます。審判から待てがかかってからも締め続けるのは、明らかなルール違反であり殺人未遂です。判定のやり直しと、今回審判を行ったElizabeth Gonzalezの柔道界からの永久追放を強く求めます。 pic.twitter.com/xXrCgwuM2P
— _ _ _ _ m (@m51262808) July 27, 2024
相手選手と審判陣、普通に殺人未遂じゃね??柔道は反則OKなん??
待てかかっても絞め技続けるのありなんやったら待ての後油断した隙狙って背負い投げして決まったら一本になるん??
ただの視聴者の私がこんなに胸糞やねんから永山選手絶対納得いかんよね…
待ての声聞こえてたって言ってたし…— もふり (@mofumofu_sukiyo) July 27, 2024
なんかさぁさっきの敗者復活戦でも解説の人言ってたけど選手は歓声で待てが聞こえなくなるのはまだ仕方がないけど待て言った審判が危険な行為止めてない上に待て取り消すように一本にするのは1番の問題だよなぁ
待ての後覗き込んでるように見えるけど本当に覗き込んでるなら止めない方がおかしいと思う— ソラ (@1_raru3) July 27, 2024
永山選手ってどんな選手?対戦相手は?審判の経歴は?
SNSでは、世紀の大誤審として批判の的となっている審判の名前が特定されていました。名前は「エリザベス・ゴンザレス」という方のようです。
では、実際に今回の試合に関わった、日本代表の「永山竜樹選手」、対戦相手の「フランシスコ・ガルリゴス選手」、審判を務めた「エリザベス・ゴンザレス」の経歴などについて見てみましょう。
果たして、
・相手選手は、もともと柔道家としての礼儀作法に問題はなかったか
などについて私なりに分析してみました。
永山竜樹選手
北海道美唄市出身で、4歳の時に柔道を始めたそうです。身長156cmと小柄で、小さな体を生かした柔道スタイルで活躍しています。
中学・高校と全国大会に出場しており、入賞の実績もあります。多くの世界大会でも優勝の実績を持ち、今回のパリオリンピックの代表先争いでは、東京オリンピックで金メダルに輝いた髙藤選手に一本背負投で勝って代表選手に選ばれた。
スペイン代表:フランシスコ・ガルリゴス選手
スペイン代表で、世界大会でも実績のある選手。
2017年の世界ランキング上位選手で争われるワールドマスターズでは、決勝で永山竜樹と対戦したこともあり、そのときは、永山選手に敗れた。
2022年のヨーロッパ選手権では2連覇した。2023年の世界選手権では、準決勝で東京オリンピック金メダリストの髙藤直寿選手を破り、その後の決勝でも勝利を収め優勝した。
実績のある注目度の高い選手と言えるでしょう。
審判:エリザベス・ゴンザレス
メキシコの国際柔道連盟(IJF)の審判員で、2022年からIJFワールドツアーのイベントで審判を務めている。
メキシコ人女性としては初めての国際審判で、今回の最年少審判だそうです。
パリ五輪男子柔道60kg級準々決勝永山竜樹対スペイン「待て」の後3〜5秒スペイン選手が締め続けた試合、誤審と思われる判断をしたのはElizabeth González(エリザベス・ゴンザレス)審判ということが判明。また、この審判は誤審を繰り返しているとの情報もあり。 pic.twitter.com/5HePeH3UAO
— こと⋆⸜🐙⸝⋆ (@kurumi_prskng) July 27, 2024
この審判については、2023年ドーハで行われた世界柔道選手権大会でも日本選手に対する誤審があったとされるポストもありました。
これは偶然かもしれませんが、今回の判定は人種差別と取られる可能性も大いにあると思います。
>ガルリゴスが危ない技(立ち関節技気味に)かけてるのに勝ちにした誤審の人…
ガルリゴスとエリザベス・ゴンザレス
スペインとメキシコ
スペイン語ドラマ、スペイン メキシコ アルゼンチン コロンビアが好きで数え切れず見た経験から、なるほど~と納得してしまう。#FranGarrigós #ElizabethGonzález https://t.co/w1d0CgYuwB— toracha (@toracha7) July 27, 2024
対戦相手と審判はどう思っているの?
この判定結果に対して、永山選手はもちろん納得がいっていないと思いますが、では対戦相手のガルリゴス選手はどうでしょうか。
自国であるスペインメディアの取材では、以下のように話しています。
と判定の結果だから仕方のないことといったニュアンスの回答をしていました。
ガルリゴス選手のInstagramには、この試合の写真が載っており素直に勝てたことを喜んでいるのではないかと感じます。
この投稿をInstagramで見る
一方、ガルリゴス選手の投稿に対して、スポーツマンシップに欠けているといった内容の批判コメントも見受けられました。
こちらの投稿にもあるように、ガルリゴス選手本人としては、この判定結果を気にしている様子はないように思いました。
これだけ話題になっている試合だけに、ガルリゴス選手本人から何かしらのコメントを出して欲しいものですね。
これか、Garrigosガルリゴス選手のインスタ。
確かに永山選手が抗議してる写真も4枚目にあるわ。
そんな写真を上げられるなんて、自分がスポーツではなく殺人未遂を犯したことを少しも理解してないってことだろうね。
サイコパスじゃん。https://t.co/l2QCPAwU34— 気の狂った鍬 (@kuwawomote) July 27, 2024
一方の審判の方はというと、鈴木桂治・男子監督ら全日本柔道連盟側が試合後に審判団に抗議するも、判定は覆らなかった。
それどころか、あのタイミングで「待て」をかけたのが誤りだったと話しているそうです。
さすがに、間違って「待て」をかけてそのまま試合を続けるというのは、ルールが決まっているスポーツ競技においてはありえないことですね。
まとめ
世界的な反響を呼んだ今回の試合ですが、永山選手はもちろんのこと納得のいっていない人は大勢いると思います。
その逆ももちろんいると思います。しかしながら、視聴者が願うのは「公正な審判とお互い敬意を払って試合をして欲しい」ということだけだと思います。
みんなが楽しめる、盛り上がる試合を期待したいですね。
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